言いたいことがあった。

ときどき、無性に何か発言したくなる時があるのです。

漫画村事件に思う---電子書籍の値段は間違っているのではないか?

漫画村をきっかけに、漫画の違法アップロードサイトが大きな問題として表に出て来た。前々からこの手のものはあったけど、国会で話されたり、漫画家団体が声を上げたり、これだけ大きな話題になったのは今回が始めてのことではないだろうか。

もっとも、この手のものは話題になると困る面もあるだろう。この話題が大きくなるまで、実は僕は漫画村の存在自体知らなかった。興味本位でどんなサイトか覗きに行って、「これはひどい」と思ったものの、それと同時に「へえ、こんなサイトがあったのか、利用できるうちに利用してしまおう」なんて悪い考えを持つ者も出てくるに違いないとも思った。ニュースで流れるたびに、問題提起になると同時に、違法サイトの広告にもなってしまう。本当に困った問題だ。

 

さてこの問題、漫画家にとってはもう死活問題で、漫画家団体がサイトを利用しないで本を買ってくれるように呼びかけたというのもっともだと思う。

でも、なのだ、悪いけど、漫画家さんたちの意見に100%賛同できるかと言うと、はっきり言って無理だ。著作権を尊重してほしいと言う意見には100%同意できるけど、だからといって紙の本を買ってくれというのは、正直ちょっと違うのではないかと思ってしまう。僕が漫画家さんたちに言いたいのはこうだ。

 

電子書籍を紙の本と同じ値段で売らないでもらえないだろうか。

 

である。

 

電子書籍は印刷代、紙代、インク代、輸送料、取次店の中間マージンなどがきれいさっぱり不要になるのだから、本来大幅に値段を下げられるはずなのだ。にもかかわらず、出版社と印刷業界、取次業界の大人の関係で、電子書籍が紙の本と同じ値段で売られている、ここに問題はないだろうか?なぜ違法サイトで読むのか?買いたくないという確信犯も多いだろうけど、買いたくても買えない者だって多いはずだ。大人の事情を無視すれば、本の値段は3分の1以下に抑えられると聞いたことがある。1冊450円の漫画本なら、電子書籍にすると150円。電子書籍に紙の本と同じ値段を出せと言われたらハッキリ、ノーと断るけど、150円なら喜んで買うし、僕と同じ考えの人も少なくないだろう。好きな作家の作品は、手元においておきたいものなのだ。おまけに漫画村の利用者は、電子書籍でも構わないという人たちだ。彼らにも手の届く値段で漫画本を届けたら、もっと大勢の人が正規ルートで買ってくれるに違いない。

 

漫画家さんたちが、サイトを利用するなと呼びかけたくなる気持ちはわかるけど、それだけでは自分と出版社の事情を優先してくれと言っているに過ぎない。そろそろ読者の利益も考えた方がいいのではないかと思ってしまうのは僕だけだろうか?

 

もっとも、電子書籍の値段の問題は漫画だけではない。小説だって同じだ。例えば文庫本。そもそも文庫本は小説を安く読者に届けるという目的で作られたものだ。でも、今や文庫本でも1000円前後は当たり前。こんな値段の文庫本に存在意義はあるのだろうか?しかし、1000円の文庫本を電子書籍で3分の1の値段で売るなら1冊333円。これならいわゆる文庫本価格だ、もっと多くの人が喜んで買うだろう。

 

本の値段がどんどん高くなってしまい、だんだんと気軽に買えるものでなくなってきている。仕方なくみんながブックオフで買うようになっている。しかし、ブックオフでいくら売れても作家にも出版社にもお金は入らない。それならそろそろ電子書籍の値段を大幅に下げた方がいいのではないか?

 

いずれにせよ、読者が気軽に買えない価格設定では、いろんな問題が出てくるのは避けられないだろう。漫画村が閉鎖されても、一匹のモグラを叩いただけで、そのうちに小説村だって出てくるかもしれない。違法サイトで読むより正規本を買った方がよっぽどいい、と読者に思わせないことには問題はまだまだ続くだろう。

 

出版社は、そろそろ本気で電子書籍に取り組んだ方がいいと思う。